一見さんが考えた高城剛という人の使い方、影響されてミニマリスト化は正解なのか?
平々凡々と日々を過ごしている一般人としては、高城剛は本人も別に好きではないという"ハイパーメディアクリエイター"という肩書を聞いた時点で、線を引いた。
怪しい、うさんくさい。なんだあの髭。
テレビ番組でやっていた持ち物紹介なんて、どうみても謎のテレビショッピングか何かじゃないか。自分で言うほどAIBOの開発関わってねーだろ実際。
・・・っていうのが、最近までの高城剛という人に対するイメージだった。
ところが友人に高城剛にハマった奴がいて、「そういう食わず嫌いを抑えてとりあえず彼の本を読んでみなよ。考え方とか、日本に拘らなくても生きていける資質とか、多分お前の生き方的に共感する点あると思うよ。」
と勧められて、白本とLife Packingを読んだ。後者は正確にはその友人宅でパラパラとめくった。
- 作者: 高城剛
- 発売日: 2013/12/24
- メディア: Kindle版
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おお・・・ちょっと見方変わったぞ。というわけで、白本という、彼のメルマガのQ&Aコーナーをまとめた電子書籍を読んだ状態での感想、というか「こういう風に己に取り入れたらいいんじゃないかな?」っていうのを、思いついたまんま書いてみる。
本当はこの記事のタイトルは、
『愚者は彼と同じものを持ち、賢者は彼と同じ視点を探る』
あたりにしようと思っていた。
言いたいことを、性格悪く言うとそうだから。
Life Packingに取り上げられているような持ち物とその運用方法にはあまり興味関心はない。EOS 5D Mark IIは名機だと思うし、確かにKORGのnano control2があればPCDJとしていくらでもフロアを震えさせることはできる。狙ってないが僕もAbletonのLiveとNIのTraktorを使用しているし。
まぁ、そもに僕が最近見かける"ミニマリスト"っていう人達の生態をあまり知らないからかもしれないけれど。そういう人達にとってどうもこのLife Packingはバイブルのようだ。
・・・話を戻そう。
白本。
質問者が結構痛そうな人生歩んでるっぽい人が多くて、やっぱそういう人らから崇められるのかなーと思いつつも、非常に丁寧に綴られた高城剛氏の回答を読んでいた。
高城剛という人物のイメージがちょっと変わったのは、「あなたがSNSをやる日はくるのか」みたいな質問に対する回答を読んだ時。
彼はエマニュエル・トッドを引き合いに出し、デジタル的な識字率・・・インターネットで自由に情報を手に入れられる若手が一定数以上増えて、デジタル識字率の低い旧世代に対して大きな影響を持ち始めた時、世の中のパラダイムシフトが起きそうな面白いタイミングで始めるかも、と答えていた。
簡単に適当に説明すると、エマニュエル・トッドっていう人は、社会の発展を論ずるために識字率と受胎調整をキーワードにしている。また、各地域の文化を形成する要因としての家族制度を上げ、これを分類している。白本中で高城氏が述べている"直系家族"や"核家族"、"共同体家族"という言葉は、エマニュエル・トッドから引用した定義で使っているはず。
んまぁ、僕は高城氏のいうネット発で現実も引っ張られるという共同体家族への移行が、日本で起こるかどうかについては懐疑的だけれども。
で、トッドは識字率の上昇により受胎調節が始まるっていうのを軸に近代ヨーロッパ文明の変化を論じていた。確か。難しくてちゃんと読んでないんだけどさ。
- 作者: エマニュエルトッド,Emmanuel Todd,石崎晴己
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高城氏はデジタル識字率の上昇を、社会のパラダイムシフトの指標として捉えていて、自分がSNSを始めるとしたらそのビッグウェーブが来たら・・・そんな感じなのかな。じゃあ受胎調節はこの場合何になるのだろう?と本人には聞きたい。
また、世の中ではアラブの春と呼ばれた革命が"SNS革命"であると騒がれたが、高城氏は否定的である。
僕が高城氏にチンと来たのは、中身の正しさは置いておいて、アラブの春とエマニュエル・トッドの理論を結びつけた意見を述べたことだ。
SNS、FaceBook上でも『これはSNS革命だ』なんて記事を嬉々とシェアする人間が多くて、自分は「まじかよ」と思っていた。でもじゃあ何か?という点については中々言語化できずにいたのだが、高城氏の考えは凄く自分にしっくり来た。
来ただけでなく、そういう点と点を結べる人が日本人にいたのか!!と感動した。
まぁ、そんなに色んな人の話を聞いたわけではないですが、エマニュエル・トッドっていう時点で日本人あんま話さないからね。知らないけど。
エマニュエル・トッドについては、普通な日本人にとっては凄く新鮮かつ面白いヨーロッパ人(かあくまでフランス人??)の視点であり、否が応でもアメリカという存在から逃れられないこの国の人にとっては大変重要な論点を提供してくれている。
エマニュエル・トッドの『帝国以後』は日本人は読むべきだ。話が逸れたけど。
- 作者: エマニュエルトッド,石崎晴己
- 出版社/メーカー: 藤原書店
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途中で書いた嫌味な元タイトル、『愚者は彼と同じものを持ち、賢者は彼と同じ視点を探る』なんだが、僕は彼の持ち物云々よりも、その視点や発想を生むメカニズムこそ学ぶべきだろうと思ったのだ。
端的に言えば、彼は自分から社会を変革するっていうよりは変わっていく社会や時代でうまくサーフィンをしているのだと思う。彼は、何かを変える人ではない。そういうサーファーっぽさが、自分の感じる胡散臭さの元なのかなとか思ったり、ああいう視点を持つためにはあんなうさんくさく生きないといけないのかとか考えたわけですよ。もっと多くの人が持つべき発想であり視点であるだろうな、というのは認めつつも。
さて、黒本とかに手を出すかな・・・。メディアに書けない真実!!とか謳ってる時点で、誰の本だろうが手を出す気にはならないんだけど。
LIFE PACKING(ライフパッキング)【未来を生きるためのモノと知恵】
- 作者: 高城剛
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