【ロードバイク】ランド坂で初エベレスティングやってみた
2021/01/31
たまに一緒に練習させてもらっている少年が、国内最年少のエベレスティング達成記録を作るべく挑むというので、賑やかし要員として一緒に登ってきた。
コロナでレースが無くなりまくった2020年に、暇を持て余した変態自転車乗りたちが国内でも多く挑戦を始めた(知らん、もしかしたらもっと前からコンスタントに挑まれていたのかもしれない)エベレスティング。
<前提> どこか坂を一つピックアップ。
<やること>
①選んだ坂を登る
②獲得標高 Xメートル を得る
③X × 登坂回数 Y >= 8848メートル か?
イエス→④へ、ノー→①へ
④終わり、お疲れ様
注)
・休んでもいいけど寝ちゃだめ
・登った道を下る(周回コースはだめ)
・休憩時間もトータルかかった時間に含む
だったかな。
とても単純に行えるエクストリームな遊びである。
エベレスティングという遊びの存在や、国内では有名所で高岡亮廣さんがかなり早い記録を打ち立てたとか、アルベルト・コンタドールが新ブランドのバイクのテストとプロモーションも兼ねて?やってたとかそんな話を知ってるくらい。
誘われて、何も考えずOKを出して挑むことに。
場所はランド坂、V坂と呼ばれる京王よみうりランド駅前の700mの登りである。
前日はカーボローディングということで(こじつけ)、新高円寺にあるサラムナマステに行き、ほんとビリヤニを食う。ついでにカレーのランチセットを頼んだんだが、ナンは美味しかったけど、カレーもナンも油は多くなってしまうので、だったらビリヤニ食べまくれば良かったと少し後悔。胃もたれ気味で夜になっても食欲がわかず、うどん軽く食べただけになったのはまずかったね。
補給食にと、家に残ってたお冷ご飯で雪塩おにぎりお茶碗1.5杯分くらいと、5枚切りの食パン2枚分にたっぷりヌテラを塗って。
あとはなんか適当に、レースとかでもらってそのまま放置されてた系の在庫大放出とか、スーパーとかコンビニで100円しないくらいで売ってる大福とか。あと走ってる時用の水用ボトルとは別に、BCAAをたっぷり溶かしたボトルも休憩用に用意。ついでにクレアチンの錠剤なんかも潜ませておく。
服装は、寒いしそれでも汗をかくので着替えは多めに。ゆーても特に冬用のウェアなんかたくさん持ってないので、持ってるものをかき集めて持ってく感じ。着替えのことを考えたけど、そこまでがっつり着替えてる余裕も場所もないかなって思って下はパールイズミの冬ビブ。上はCraftの夏用インナー、その上におたふく手袋のインナー、申し訳程度に夏用半袖ジャージ、そしてウインタージャケット。ついでにジレも用意しておいた。グローブは重ね着想定で夏用の薄いのと、冬用グローブ。シューズカバーもFOOTMAXの布製のシューズカバー?と、パールイズミのシューズカバーの二重。おたふく手袋のインナーはお値段お手頃でとても良いのだが、汗かくと地獄。でもお手頃なので愛用している。
おたふく手袋 ボディータフネス 保温 コンプレッション パワーストレッチ 長袖 クルーネックシャツ JW-174 ブラック L
- 発売日: 2017/09/01
- メディア: Tools & Hardware
仕事が終わらなくてバタバタしてたら結局寝たのが22時前。起床は3:30くらい。朝ご飯は定番のフルグラをヨーグルトと一緒にモリモリ食べて、コーヒー1杯。4時過ぎに迎えに来てもらって、現地へ赴く。
やばい、寒い。準備中細かい作業するのにグローブつけていられないけど、手からどんどん冷えていく。ここでさらにウインドブレーカー的なのも着て、バラクラバも二重にした。とにかく、特に手先と足先は冷やさないように、と露出せざるを得ない顔周りの防寒・防風対策。
自転車のホイールは、自分は全然あれもこれもと持ってないので、前後輪タイヤ込み1000gという軽量チューブラーを借りた。平坦試走してても笑いが出る軽さ。
5時過ぎ(5時半にはなってなかったと思う)にスタート。まずは軽く10本ちょいアップ。
登っていると真っ暗闇から夜が明けていく。
そしてこのタイミングでいきなり温かい飯。カップ麺とエスプレッソ、めっちゃありがたい。
基本方針、3:45を登りの基本ペースとして進めていく感じ。これくらい時間使えるのならば元気な間はほぼサイクリング。10時間以上経過したらどうなるかわからないけどねってとこ。
着るものを調整して再開。まだ8時台は日が当たれば温かいが、そうでない時の方が多いし、休憩取ると体が冷えてきてしまうのが難点。ここからは15〜20本を1セットとしてしばらくやってくって感じで進めていった。登り3:45ペースなので特に苦はなく。途中で一度、セブンの鶏そぼろ弁当を買って食べる。
半分消化した13時前に再度がっつりと食事タイム。おにぎりや、カップ麺、肉まんを食べる。まさか1日に2つもカップ麺を食べるとは・・・って感じ。とにかく前半に固形物を食べまくれという指示には従ったが、やや消化不良ぎみになってきた。これは食べないと死ぬけど食べても死にそう、でも食べないと始まらない。やや吐き気を感じながらも、体は食べ物を求めているし、食べると落ち着くし体力が戻ってくる。
時間をぬって奥様がチョコレートとか甘いものを差し入れに来てくれた。感謝。
このあと、100本めくらいまでは順調に、やや疲労が出てきながらも登り4:00越えることはなくこなす。
ほんとうの、じごくは、これからだ。
目に見えてペースが落ちてきた。背中にひどい痛みが出だして、これを庇って足だけでペダリングしようとすると、体幹使ってちゃんとペダリングをするよりも簡単に疲労が足に溜まりまくる。無理して詰め込んだ固形物でお腹が張るし、冷気で喉をやられてきたのか胸が痛くなり、結果としてちゃんと息が吸えなくなってきた。これもパフォーマンスの低下には大きく貢献しているだろう。
元気に体重4倍弱で淡々と刻めていた前半と打って変わって、2〜2.5倍が限界。とにかく体重をそのまま重力に従って落とすような休みのダンシング的な進み方をしている時間が増えてくる。6000m台が一番辛かったかな。とにかく10本、15本あたりに刻んで無心にこなすようにする。
休憩時は甘めのコーヒーと、カステラやチョコレート。これくらいならいけるってくらいの固形物を食べてみる。19時頃に一度がっつり休みを取って、クレアチン錠剤(効果はこの場合あるのか知らんが気分的な問題)とかアミノバイタルの粉とかも積極的に摂取しつつ軽量化。6000m台が一番辛かったが、7000m台はなんとなくボーッとした頭でも残り回数が計算できるのでカウントダウンが始められそうって状態。それでも前半の20本、30本に比べたら最後の20本、30本は全く別物であった。
自分の能力の限界でもあるし、ちょっと補給は量や種類、タイミングをミスったなーと思いつつ、それでも自分が足を動かし続ければ絶対にゴールはできるという執念だけで終盤走っていた。もう総合タイムとかどうでもよく(もともと気にしてないけど)、ただ自分から自転車を降りることだけは絶対にしたくなかったし、日付が変わろうと終わるまで走ってやるって気持ちならひたすら休む系ダンシングでヘロヘロでもいいから走っていれば終わるんだし。
そう、ほんと終盤は自分との戦い。
22時過ぎに終わり。トータル17時間、休憩がしかし合計で3時間近く含まれている気はしている。儀式としてやろうということで、ラップは自動ではなく毎回自分でラップボタンを押すようにしていたんだけど、疲れてくるとそれを忘れることがでてきて、登った回数はラップ数とは違うかもしれない。
トラブルが無ければ、失敗っていうことは無いと勝手に思っていたので、大きな感慨はないんだけね。ただ、「あ〜、クソ雑魚の自分でもやれたか」って淡々と。何よりも100本過ぎた以降くらいからの失速に対する情けなさと悔しさが大きくてな。
借りていた超軽量チューブラーが、めっちゃブレーキシュー削るのと下りが安定しなくて怖かったのでいつも使ってる46mmのホイールに途中で交換。重量的にはマイナス、ただ下りが安定してこなせるのは大きかった。他には特にスペシャルなパーツとかはなく(そんなものを買い揃えられる階級の人間ではない)、いつも通り。
サイコンはGarminのEDGE530使ってるんだけど、電池の持ち的にGarmin使ってたことはありがたかった。前半で休憩のときにちまちまモバイルバッテリーから充電してたんだけど、持ち主と違ってかなり余裕残していたと思う。あんまり長引くとライトの電池もやばいかなと思ったけど無事もってくれた。キャットアイのVoltシリーズよりもお手頃なAMPPシリーズ使ってるのでバッテリー付け替えで復活ができないからね。普段ならAMPPシリーズで全く問題ないんだけれど。
着るものと補給が成否の大部分を占める気はするので、特に今回しくった自覚のある補給はもっと考えないとだな(もうしばらくやる気はないけど)。お腹すいたらダメだし、食べすぎてもだめだし、どのタイミングでどんなものをどれくらい食べるか? は予め基本方針とタイムテーブルを決めておいた上で、当日は柔軟に補給を進める必要がある。この方針を決めるのに、何をもとに決めたらってなるので、レースの強度でなくていいのでとにかく自分が長時間走った時のお腹のすき方とか疲労とか補給をまずは思い出しとこう。なければ試しに超ロングライドをデータ集めでやっておいてもいいかもしれない。挑戦するなら、着替えも服も大げさなくらい多めに用意しておいた方が幸せだろう。特に近くに補給できる場所がないコースで挑戦するときなんかは特に。
ラスト三分の一が黄金のタレ状態だったんだけど、その中で今年の冬の自分のテーマである"重心"に関する気づきを得られた。走りながら試行してみて「あ、そういうことか」って実感しつつ、でも背中の激痛と戦ってる時に体幹意識してかつちゃんと体幹ができてないとやれないことをやり続けるってのはできなかったのだが、これはこれで今後の練習に反映させていこう。
と、そんな初エベレスティングでした。サポートしてくれた所属チームの監督と社長、差し入れに来てくれたり旦那が遊びで早朝から夜遅くまで出払ってた中で休みの日に家事をきっちり片してくれた奥様には大感謝です。