独学するならばこそ気にしたい、書籍の選び方
何か新しいことを学んだりステップアップする際に、どういうプロセスを経るかというと2パターンあると思う。
きっちり土台を積み上げていくか、即実戦な環境でとにかくがむしゃらにやってみるか。
前者のプロセスを、自学で進むことを考える。
この場合、モチベーションや実際の実力を付けるのに効果的なのは、適切なゴール設定がなされた書籍の選択がコストの面でもアクセシビリティの面でもおすすめ。
適切なゴール設定、ね。
大昔、それこそ中学の頃に何を血迷ったかDelphiなるプログラミング言語をやろうと思ったことがあった。それで、『基礎からの〜』みたいな本を1冊買ったのだが、通り一辺のまるでカタログやチラシの文章のような、何か言ってそうで何も言っていない説明が続いた。そして最後には「よし、それじゃあ最後にDB管理アプリケーションを作ってみようか!」とかだった。
わけわからん。
著者プロフィール見たら、仕事がDB絡みとか書かれていて、ふざけるなと思った記憶がある。基礎を学ぶために適切というか、おそらく著者のフィールドだったから・・・それくらいの意図しか読めなかった。その本はそれで捨てたし、Delphiもやる気なくなったので最早どうでもいい話だが。
ただ、こういうのはとにかくゴール設定として適切でないどころか物売るってレベルでもないと思う。
ゴールそのものもそうだし、そこに至るまでの水先案内の質も大切だ。ここも含めてゴール設定の適切さだと思う。
ゴール、道のり、道程で必要な事項の適切な順序や分量でのフォロー。最終的な形を説明することに注力する余り書いていて「当然だろこれ」と思うのだが、世の中そうでもないことが多い。過程のすっ飛ばしとか、明らか著者が面倒やら紙面の関係で省略。全くもって、書かれている思考が追えない・・・そんなことはよくあるんじゃないかな。
プログラミング、CG等ではやはり、本を読みきって書かれていることを実行した時に手元にどんな形が残るのか?っていうのが見えやすいので、その書籍のゴールがどんなものなのかなんとなく掴めるのが便利なジャンルだと思う。
わからんところは、ググれば情報はネットで色々見つかる・・・とか言っても、ネットの情報というのは本当に断片が無秩序に散らばっているだけなので、自分の頭の中でそれらがマッピングできない間は時間のロスが激しいから。
簡単にまとめると、
・1冊読みきった時に、実際に一緒に手を動かした時に何が手元に残るのか?
・網羅性という点では評価はできないが、今必要な事やこれから知ったらいい事など情報の重み付けが丁寧にされているか?
・プロセスの説明は端折られていないか?飛躍が無いか?
なんてのを意識したらいいと思う。違和感を感じた本は別に無理して読み進めなくてもいいかなーと。
以下なんとなく、この視点で読んだ時に気に入った本。
- 作者: 山田祥寛
- 出版社/メーカー: 翔泳社
- 発売日: 2012/09/14
- メディア: 大型本
- 購入: 1人 クリック: 7回
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後半に3種類程度、実際にコード打って作っていく形で話が進んでいく。機能の少ない単純な状態から始まり、更に発展した形へと持っていくその切り分け方や、「じつはこんなのもあって、とりあえずこの程度知っておけばいいよ〜」という応用的な情報のチラ見せ方、初学者をイラッとさせる「お前今しれっとA→Cって説明したけど、その間なんなの? Bは??」みたいなのが非常に少ない。
- 作者: フレア,グラフィック社編集部
- 出版社/メーカー: グラフィック社
- 発売日: 2014/02/07
- メディア: 大型本
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が、話の進め方が例えばEDMの章だったら、「はいここからドラム選んでね」「次はベースね」「リードシンセはこれで、いいからアルペジエーターの設定は黙ってこれにしろ」という感じ。だから「お、おう」と思いながら言われたとおりにやっていくと、その章の内容をどうにか手を動かしてやりきると、なんかよくわからないEDMちっくな曲が作れてしまっている。
よくわからないEDMちっくな曲であっても、フレーズであっても、一つ形を作れると凄く楽しい。
そういう点では、この本は良書かもしれない。扱うものの全体から考えるととてつもなく薄っぺらいとはいえ。