ハッピーエンドのお別れと、語り継がれる物語の強度
4月に祖母が旅立った。そして7月、つい先日に祖父が旅立った。
面倒臭い環境で育った自分にとって育ての親といえばこの人達で、そんな存在をたったか3ヶ月の間に失ってしまった。
祖父は、祖母が旅立って100日目に旅立った。集まった親戚達と話していたんだけど、なんというタイミングだろうかと。
まるで、祖母を見送ったあとに、現世で諸々後片付けをして祖父は祖母を追いかけたみたい。でもこのタイミングだから、今年の新盆は二人はすれ違う。
「ちょっとおじいさん、すれ違うじゃねーか」 「そんなこと言ってもだよ、何言ってるん!?」
と、僕の家系ではとても強い部類だった祖母と実直で頑固な祖父は今ごろきっと、仲良く罵り合ってるんじゃないかと思ってるし実際そうだろう。依存じゃなくて、本当に良い意味で二人でいることが欠かせない人達だったから。
そんな二人の旅立ちの間に、僕自身は新たに家庭を持った。
夫婦になりたての自分に、最後に模範解答的な夫婦の終わりを見せてくれた・・・不思議なくらいそんなタイミングだった。
不安定ながらもある種の落ち着きは手に入れて、ただ孫が元気な顔を見せるのとは違った孝行ができるかと思った矢先に、最後の最後まで結局何かを示してもらって終わってしまった。
そもそもに、誰もが死ぬけどその死に方は選べない。そんな中でも二人とも大病で苦しむとかではなく、生ききって旅立った。これだけでも大したものだなと思うし、その上に夫婦示し合わせたかのようなタイミングですよ。
この二人のこの話は、語り部として他の人にも伝えて行くだろう。
それと同時に、語り部であるだけではダメで、そういう物語の当事者に自分はなれるのか?と自問し続け、何かはしていかないといけないんだろうなと思ってる。
偉大で大好きだったじーちゃんとばーちゃんが図らずも最後に見せてくれた物語のエンディング。
物語が語り継がれるというのは、多弁であったり声が大きい語り部の存在ではなく、語り手自体もその物語の主体であることがけっこう大切なんじゃないかと。
そういう意味では、半世紀後くらいに再会した時用に大きな大きな宿題を出してくれたなぁ・・・なんてね。
というわけで、実は明日が告別式なんだが、少し寂しいから泣くだろうけど、それでも笑って手を振ろうと思う。
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