funny rain, sweet breathing

知ってるか?世の中って思った通りにしかならないんだぜ?

いつか連れて来てもらった景色、渡良瀬渓谷、高津戸峡

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渡良瀬(わたらせ)渓谷。

北関東を流れる渡良瀬川沿いにある渓谷で、群馬県の桐生とかみどり市から栃木県の足尾とかその辺までわたらせ渓谷鐵道という路線が走っている。独特の深い青緑の渡良瀬川、囲む渓谷は春は桜のピンクや新緑の緑、秋は鮮やかな紅葉が一面を飾る素敵な場所だ。

昨日、雨の中、それこそ二十数年ぶりにこの地を訪れた。雨の中、遊歩道を外れ、濡れて足場の悪い川沿いの岩を、傘とカメラで両手がふさがった状態で昔のように駆け上った。これ、滑ったら死ぬなとか思いながら。

小さい頃、祖父母によく連れて来てもらって(祖父母の家が近所だったので)、川沿いの岩を駆け上ったり高津戸峡と呼ばれる渡良瀬川沿いの遊歩道を散歩したりしていた。

中途半端に開けた地方都市で、町内からすら一人で出ることを許されなかった酷い少年時代を送らされていた自分にとって、たまの祖父母家への訪問と彼らが連れて行ってくれる場所は、唯一の"ここではないどこか"であった。

自分をかつてこの地に連れて来てくれた祖母が、先日いなくなった。もうここに自分を連れて来てくれる人はいない、だけど今の自分は一人でここを訪れることができる。

いつか、自分も後の世代をこの景色に(ここではなくとも)連れて行けるような自分でありたいと思っている。日常や、生活の知恵とかそういうのだけでなく、尊い景色や"ここではないどこか"っていうものを残したり、継いでいくのも多分未来を作っていくことだと強く感じているから。

ってわけで、渡良瀬渓谷にある高津戸峡。

高津戸峡は、わたらせ渓谷鐵道の大間々駅の裏辺りに位置している。はねたき橋という真っ白な端と、高津戸橋という真っ赤な橋に挟まれたエリア。

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東京方面から向かうのならば、浅草から東武伊勢崎線の特急りょうもう号に乗り、相老(あいおい)という駅で降りる。ここでわたらせ渓谷鐵道に乗り換えて2駅、大間々駅で下車。りょうもう号の終点である赤城駅まで行ってしまってもいいのだが、そこからだと大間々駅から向かうのに比べてプラス2〜3km歩く距離が延びる。

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まぁ、りょうもう号もわたらせ渓谷鐵道も本数が無いので、どの時間帯でもうまく乗り換えられるわけではないんだけど。

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わたらせ渓谷鐵道の大間々駅の北東に、はねたき橋がある。かつて(今も?)自殺の名所ではあったので、橋の柵が増設されていたり、橋のふもとに自殺防止ダイヤルの看板があったりする。別に自殺しろというわけではないが、この橋の上から、深い青緑の水面を眺めていると、吸い込まれそうな感覚になる。

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はねたき橋側から見た高津戸峡。奥に見える赤い橋が高津戸橋。この写真、左側に遊歩道が整備されている。

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ゴツゴツした岩場にたまにある、ツルツルの石。川を流れ、周りの岩で削られたもの。

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階段はそこそこあるが、遊歩道はかなりきれいに整備されていて、とても歩きやすい。