ニュートーキョー本店の閉店日、半世紀後の景色の価値
ここの系列のお店にはそうそう頻繁に行くわけではないんだけれど、有楽町銀座の景色として馴染みのあったニュートーキョー本店のビル。再開発に伴うビルの解体と、有楽町電気ビル内への移転ということもあり、最終日に1杯引っかけてきた。
食事は移転先の新店舗でもできる、が、お店の空気は昨日で終わりだ。
名物のカミカツ、あの油っこさをあの量食べるのは実はしんどかったりするのだが、77年前のレシピを再現したという復刻ビールと共に食らう。それとどうやって焼いているのか凄く気になる、とーっても分厚いスペイン風田舎オムレツ。あとは適当にウインナーやキャベツの浅漬など。
最終日の18時頃に着いて30分待ちくらいで入れた。もうちょい混雑を覚悟していたけど、席数はあるお店なのでそうでもなかったみたい。やっぱ年配の方が多かった。あとは関係者とか常連さんもけっこういたのかな。
このお店、ホールのスタッフが黒パンツにアロハなんだけど、アロハが可愛い。ちょっと欲しくなった。あと一人だけ女の子がディアンドル着てたんだけど可愛かった。
iPad miniくらいあるんじゃないかっていうサイズのカミカツ。とても薄いが、これだけでけっこう満たされる一品。
この分厚い田舎オムレツ。しっとりとした卵感と、ゴロゴロの芋感がとても素敵だ。
このレンガが敷き詰められた内装。仄かに暗いオレンジの照明と相まって、お店の雰囲気を適度な温度にしていると思う。しっとりとは飲まないけど、馬鹿騒ぎもしない、みたいな。
このお店が入っていたビルというか、この辺一体の再開発らしい。これからどうなるのかわからないけど、まぁ2020年ていうのが良くも悪くも錦の御旗になってあちこち東京も変わっていくのだろう。
再開発っていうと、僕の好きな街の一つの中野で、サンプラザ中野とかを取り壊してでっかい商業ビルをあのエリアに作るとかなんとかっていうのを聞いたことがある。あそこは、区長が傍から見てると本当にただの古臭いジジイで、箱モノ作れば満足それ以上の何かを感じないのが残念で。サンプラザ中野も古い建物だから仕方ないとはいえ、ね。
あるいは豊島区。WACCAっていう新しいこれまた商業ビルができたんだけど、これも駅前再開発の一貫とかなんとか。知らんが。
東京の自称コンサルのせいで地方の街並みが没個性的なつまらない、ただ新しいだけのものになったっていうTweetを見かけたことがあったんだけど、それは発信源の東京内であってもただただ"お洒落な"商業ビルがあっちこっちで建っているだけな気もする。
何十年も前、今でこそノスタルジックな味わいを感じるニュートーキョーのレンガの内装。その周辺の山手線の高架を支える古いレンガ達。建造された当初は別に、今、僕達がそういうものが残る街並みに愛着を抱くことを目的とはしてなかっただろう(そういうものだっていう認識が一定数あるから、東京駅の丸の内駅舎が今の形で名所になっているのだと思っている)。
同様に、現在作ったり企画を立てた人間以外はなんとも思わなそうな、今時点での没個性的なお洒落ビル達は数十年後にどういう印象を持たれるのかな。レンガっていう、革製品じゃないけど、色あせていくことで出てくる味もある素材が使われなくなった今日。より一定である性質が強化された今の建物って、時間が経った時どうなるのかな。どう思うのかな。
- 作者: 加藤嶺夫
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2003/02
- メディア: 単行本
- 購入: 3人 クリック: 15回
- この商品を含むブログ (12件) を見る
- 作者: 鈴木伸子,加藤嶺夫
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 2011/10/19
- メディア: 単行本
- クリック: 9回
- この商品を含むブログを見る