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ドリフターズ4巻ついに発売と、平野耕太が操る言葉の魅力

3巻から1年半、ようやく届いたドリフターズ第4巻。
端的にまとめると豊久と土方の殴り合い回。まだ1周しか読んでないけれど、そのイメージが強すぎる。

「よろしい、ならば戦争だ」
のセリフがもしかしたら有名かもしれない前作の『HELLSING』。これはかなり好きだ。残念なクオリティに定評のあるTV版も、原作をとんでもなく忠実に再現したOVA版も見た。ジブリ映画や何やらが放映中の時間帯の平野耕太Twitterはかなり面白い。

カトリックプロテスタントナチス残党の、まさに"戦争"を描いた『HELLSING』はかなり血とか首が吹っ飛ぶし、人間はモシャモシャと喰われるし・・・という作品なので人を選ぶかもしれない。

ドリフターズでは確かに主人公が"妖怪首おいてけ"な戦争バカで、戦争モノなので殺人描写等はある。が、様々な歴史上の人物が時代関係なくドラゴンやエルフ、ドワーフの住まうファンタジーな世界に集い、国獲りを目指すのがドリフターズだ(今のところは)。

シリアスな描写とギャグ描写のバランスや入り方が凄くクオリティ上がったと思うのだが、それ以外でもこれは平野耕太の才能なんだなと思うことがある。この作品では例えば初っ端から織田信長那須与一ハンニバルやスピキオなんかが登場する。こういったキャラクター達の言動描写にに、平野耕太の才能を感じた。

実在の人物のエピソードや発言の作品への取り込み方と、作中におけるキャラクターとしての歴史上の人物からの落とし込みがとにかくうまい。平野耕太式なアレンジがされているが、なんとなく知っている史実の人物と乖離していないような印象を与えてくれる。

例えばドリフターズの登場人物としての織田信長
ギャグなシーンでは

オッス オラ第六天魔王
しゅみは焼き打ちとか皆殺し
殺した相手のどくろのさかずきでカンパーイ

真面目どころだと例えば、

合戦そのものはそれまで積んだ事の帰結よ
合戦に至るまで何をするかが俺は戦だと思っとる
猿以外本質は誰も理解せんかったがな

戦略家と言われている織田信長、実在した織田信長も言ってそうだな~となんとなく思ってしまうようなセリフやキャラクター作り。織田信長なんてラノベだのマンガだのでよく題材にされるが、そういう作品の中でも平野耕太の描くキャラクターが一番説得力がある。

平野耕太作品の魅力って、独特のセリフ回しも大きな要因だ。韻を踏むような感じで繰り返され積み上げられるセリフ・・・とでも言うのかな。同じリズムでテンポよく、対比・並列・言い換えetc...で格好良く綴られるセリフ。至る所で登場するこの平野節は、平野作品の大きな魅力である。

例えばHELLSING、少佐のセリフで

諸君
夜が来た
無敵の敗残兵諸君
最古参の新兵諸君
万願成就の夜が来た
戦争の夜へようこそ!!

とか、

目的?美しいフロイライン
それは愚問というものだ
目的とはね…
極論してしまうならばフロイライン
我々には目的など存在しないのだよ
知っておくといいフロイライン
世の中には手段の為には目的を選ばない
というどうしようもない連中も存在する
つまり我々のような

とか(あえて「諸君戦争は好きか?」は省く)。

とにかく平野耕太流の言葉のリズムが心地よいし、格好いいのだ。

HELLSING 全10巻 完結セット (ヤングキングコミックス)

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